京都土産の定番中の定番でもある「八つ橋」は、古くから伝わる伝統ある和菓子です。
ヘルシーな八つ橋は、京美人のおやつとしても大人気。そんな八つ橋の歴史を紐解きます!
京都土産の代表的存在とも呼べる「八つ橋」。
一度は口にしたことがある方も多い、京都名物のひとつですね。
その見た目もかなり個性的。箱を開けると、光を放つかのように美しく、整然とした姿で私たちを迎えてくれます。
お餅のような生地から、うっすらと透き通って見える餡、シナモンのような香りをまとい、お砂糖でオメカシをした美しい表情は、どこか京都の街並を見ているかのような、素敵な余韻を感じさせてくれます。
八つ橋は、ほとんどが米粉や餅粉の生地からできているので、とってもヘルシー。洋菓子に比べ、和菓子は甘さもカロリーも控えめです。特に八つ橋は、1つ1つが軽めに作られているから、ダイエット中の女子にもオススメ。腹持ちもいいから、お腹が空く心配もいらない優秀なおやつです♡
やわらかいモチっとした食感を堪能すれば、ほっこり心が和んで、自然と笑顔が浮かびますよ!
八つ橋の名前の由来は、いろいろと説があるようですが、中でもある2つの説が有力とされています。
まず1つ目は、江戸時代に活躍した筝曲(そうきょく)、今で言う琴のことですね。
これを奏でる音楽家である八橋検校(やつはしけんぎょう)という人が由来となっている説です。
もともと八橋氏は堅焼きせんべいを作っていて、生前この作り方を伝授していたと言われています。そして、彼が亡くなった後に、このせんべいの作り方を受け継いだ人が、琴に似せたお菓子をつくったことから、「八つ橋」と呼ばれるようになったといわれています。
言われてみれば、八つ橋の姿カタチは、琴のような美しい見た目をしていますよね。
琴がモチーフだとは、なんとも京都らしい上品な由来です。
2つ目は、伊勢物語に登場する三河の国の八橋という橋を真似して作ったという説です。
伊勢物語は、平安時代の初期に作られた歌の物語。四季にまつわるものから、恋や友情など、さまざまな歌が詠まれています。
物語の「第九段」、「東下り」の旅の話の中にこのような歌があります。
「水ゆくかわの くもてなれば はしをやつわたせるによりて」
この歌の意味は、三河の国の「八橋」という名前のついた場所で休憩をしていたら、橋のほとりに、かきつばたの花が美しく咲くいているのをみていた。
それを見てある人が、「かきつばたという五文字を各句の頭に置いて、旅のこころを詠みなさい」と言ったので、こう詠んだ。
「から衣 きつつなれにし つましあれば はるばる来ぬる たびをしぞ思ふ」
という、故郷に思いを馳せ、涙を流すという場面の歌。
この歌の中に出てくる「八橋」が由来になっているのではないか、という説です。
とても、情緒あふれる歌の一幕。
もし、平安時代に作られた歌のワンシーンから名づけられていたとしたら、日本らしさにも似た、なんとも言えない趣を感じさせてくれる深い和菓子ですね。
京都名物のひとつとして皆に愛されている「八つ橋」には、こんなにも深い名前の歴史があるとは驚きですよね。
上品な甘さがほっこりさせてくれる味で、京都を訪れた人々を魅了し続けている理由が、なんとなく分かる気がします。
京都だけでなく、日本を代表する和菓子として、より多くの人のもとへ届きますように……♡