カルチャー
2017.03.14(Tue)

【フクオカhumanpedia】第9回「カフェの街・福岡の魅力を世界へ発信する第一人者」

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「フクオカhumanpedia」は、古くから商都として栄えてきた福岡の街を支えた、歴史上の著名な人物や、知る人ぞ知る職人たち、現在福岡の各分野で活躍している人々を紹介する連載コラムです。

第9回目に登場するのは、福岡のカフェブームとともに歩んできたカフェ情報ポータルサイト「CAFE@TRIBE」の管理人・クハラシゲヤスさん。

小さい頃から喫茶店という空間が好きで、社会人になる頃にカフェブームが到来。「ちょうど自分のライフステージの変化とカフェ文化の変遷が同じようなペースで変化していったせいか、自分でも思いも寄らないぐらい“カフェの人”になってしまいました」と笑います。

いつも楽しい思い出とともにある空間

クハラさんのカフェ好きのルーツは幼少の頃に遡るそうです。佐賀の鹿島市、3人兄弟の次男に生まれ、理容店を営んでいる両親が自宅の1階で働く背中を見ていた少年時代。「家は親の仕事場でもあるから邪魔しないようにはしていたんですけど、小学校が早く終わる土曜日の昼は、時々自転車で近所の喫茶店なんかに連れて行ってくれたんですよ。ちょっと薄暗い空間でマスターと常連さんが会話していたり、タバコを吸いながらスポーツ新聞を読むおじさんがいて、みんなそれぞれに好きなことをしている感じがすごく『大人だなぁ』と思えて。そこで食べるピラフやパフェがごちそうでした」。

高校生ぐらいになると友人と過ごす時間が長くなり、まだそこかしこにコンビニやカラオケがある時代ではなかったので喫茶店へ。「何をするでもなくただ集まって、店の看板メニューのシシリアンライスをよく食べていましたね。のちにそれが故郷の名物料理でもあるっていうことを知るんですけど(笑)。家と学校以外のサードプレイスはやっぱり僕にとって『大人だなぁ』と思える空間で憧れの気持ちは相変わらずだったんです」と振り返ります。

高校卒業後、福岡のデザイン学校に進学し、一人暮らしをすることに。それまでのいいイメージに導かれるように喫茶店でアルバイトをはじめたクハラさん。「今はもうありませんが、博多駅の地下の喫茶店でした。ギャルソンぽい制服が着てみたくて。行くのも楽しいし、働くのも楽しい場所でしたね」。クハラさんにとって喫茶店は、家族や友人の笑顔やおいしい思い出とともにある場所でした。

時代は喫茶店からカフェブームへ

20歳で就職したのは福岡の印刷会社でした。それほど規模が大きな会社ではなかったので、営業をしながらデザインも兼務するなど、多忙な毎日を過ごしていました。

たまの休みに行くのはやはり喫茶店。「朝早く起きて、オヤジたちに囲まれてスポーツ新聞を読みながらモーニングを食べるんです。いちばんよく行っていたのは六本松にあった店ですが、この頃からいろんな店を巡るようになりました。今もある店だと『ブラジレイロ』や『喫茶 伊藤』なんかもそうですね」。昭和レトロな雰囲気も好きだというクハラさん。今ほどファーストフードやファミレスが多くなく、おしゃれなカフェという概念も定着していなかった頃の話です。

2000年前後から福岡の喫茶店シーンは一変します。いわゆる「カフェ」と呼ばれるおしゃれな店が登場しはじめます。クラシカルな喫茶店とは一線を画した明るくておしゃれなカフェに、感度の高い若者たちが押し寄せます。デザインやインテリアもおしゃれで、雑誌でもたくさん特集が組まれ、アパレルブランドによるカフェも多く見られました。

「子どもの頃や高校時代もどこかしらちょっと背伸びした気持ちになれる憧れの場所でしたが、自分ももう20代になり、今度はカフェという憧れのステージが登場したんです。スイーツが出るカフェなんかも好きで一人で行っていたんですが、僕以外は全員女の子ばかりで(笑)。肩身の狭い思いをしながら、インテリアとして置いてあるデザイン本をめくっていたものです」。

好きが高じてカフェのポータルサイトの管理人に

仕事でWebの制作にも関わっていたクハラさんは趣味でロックミュージックや釣りなど自分の好きなものをまとめたホームページをつくっていたそうです。その中のひとつとして2001年にはじめたのが「CAFE@TRIBE」でした。まだお客さんがたくさん来る前のカフェを訪ねて、デジカメで写真を撮ってそのカフェの魅力を紹介していきます。ポータルサイトやローカルの情報が充実したサイトが少なかったせいかメディアからも注目され、すぐに人気サイトになりました。「雑誌やテレビにも出させていただいたのですが、まだ会社にこういう活動をしていると話していなかったので横顔だけ出たりとかしていて、まぁすぐにバレてしまったんですが(笑)。ただ会社も理解を示してくれて、それ以降は会社の一事業という形にしてくれたので堂々と勤務時間中にも取材や制作ができるようにもなっていきました」。

時を同じくして、福岡のカフェシーンは個性溢れる名店が次から次にオープンし、新しくて大きなムーブメントへと発展します。「CAFE@TRIBE」も「カフェトラ」という愛称で呼ばれ、ブロガーや食のレビューサイトのハシリのような存在で、福岡のカフェ好きでなくともその存在を知るようになりました。

その後、30代になり、結婚・子育てを経験しながら、カフェを使ったプロモーションやコーヒー関連のイベントのプロデュースをするなど、カフェとの関係性もより密接に。カフェトラの人気も不動のものとなった30代最後の年に会社を辞め、「CAFE@TRIBE」1本でやっていくことを決意。

小さい頃から身近だった喫茶店ですが、まさかこういう形でずっと関わっていくことになるとは思いもしなかったというクハラさん。起業した当初は不安もあったそうですが、カフェの人たちもクハラさんのことを応援してくれたおかげで今やカフェ業界にとってなくてはならない存在に。

「福岡は全国的に見ても魅力的なカフェが多いんです。たくさん紹介したい店があるし、営んでいる方もそれぞれに個性がある。福岡に住む人にはもちろんですが、県外海外からいらっしゃる方にも旅の合間にリラックスしていってほしい。今、福岡は世界的にも注目されるコーヒーの街になりました。切磋琢磨して優れたバリスタがどんどん育っています。また新たなカフェ文化に期待が高まりますよね。この仕事のおかげで人と出会って、仕事が広がって、ついには書籍まで出すことができたんです。今も毎年楽しみにしてもらえているようなイベントもできているし、本当に恵まれていると思います。今後は九州だけじゃなく、アジアのカフェともつながりを持って、福岡のカフェの魅力をもっと発信していきたいですね。カフェによる町おこしや地域再生にも興味がありますし、私の使命でもあると思うんです」と頼もしい未来への展望で締めくくってくれました。

カフェ情報ポータルサイト「CAFE@TRIBE」
HP:http://cafetribe.com/

<profile>
クハラ シゲヤス さん
「CAFE@TRIBE(カフェ・トライブ)」管理人。佐賀県・鹿島市出身で、福岡のデザイン専門学校を卒業した後、印刷会社に就職。広告営業やデザイン、WEB制作をする傍ら、2001年5月「カフェ・トライブ」の運営を開始し、これまでに巡ったカフェの数は約1,000店舗以上を誇る。毎年春の定番イベント「グッドモーニング福岡」の取り仕切りも行う。

グッドモーニング福岡
HP:http://www.cafetribe.com/gmf/

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