カルチャー
2016.09.20(Tue)

夏の音色を奏でる沖縄「三線」の魅力とその軌跡

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沖縄の代表的な楽器「三線」が奏でる音楽は、独特な音色が人々の心にやさしく響きながら、夏を感じさせてくれます。どこからともなく聞こえてくる、このやわらかい音色たちは、いつの時も波の囁きに寄り添いながら、そっと私たちの心を撫ぜ、思い出の中にその余韻を残していってくれます。そう、それはまるで砂浜に残る足跡のように。
沖縄で三線の音を耳にしない日はないほど、ポピュラーな音楽。そんな三線の魅力とその軌跡をご紹介します。

 

そもそも「三線」って?

「三線」とは、沖縄に古くから伝わる弦楽器です。その名の通り3本の弦からなり、それぞれ太さに違いがあります。
一見、三味線にも似ている姿をしていますが、いくつかの共通点はあるものの、その由来や構造などには異なる点も多く、全く別の楽器なのです。

では、その主な構造を見ていきましょう。まず、胴(チーガ)にはニシキヘビの皮が使用されています。
そして音の良し悪しを決める大事な部分、棹(ソー)には漆が塗られており、全体的に三味線よりも小さな造りになっているのも三線の特徴です。
時を経て、琉球の人々により改良を重ねた三線は、よりコンパクトに、そして手軽に弾けるサイズに変身を遂げ、現在の姿になったとも言われています

 

三線の歴史

諸説ありますが、その中のひとつをご紹介します。

その昔、沖縄がまだ琉球王国だった頃、貿易が盛んであったことから、貿易商により伝わったものではないかとも言われています。残念ながらこれらにまつわる資料が少ないため、伝来の時期などについての詳細は明らかにはされていないようですが、当時は蛇の皮が入手困難であったと考えられるため、猫や犬の皮が使用されていたとされています。

また、琉球王朝時代に入ると、三線は宮廷楽器として中国からの歓待などに使用され、三線音楽にまつわる役職も設けられました。こうした中、優れた三線職人たちが次々と誕生し、次第に三線は宮廷音楽の中心を担う重要な立場を築いていったのです。

 

三線の種類たち、守られる伝統の技

沖縄の三線には、現在7種類の型(かた)があると言われています。その種類がこちらです。

①南風原型(フェーバラー)
②知念大工型(チニンデーク)
③久場春殿型(クバシュンデン)
④久場の骨型(クバヌフニー)
⑤真壁型(マカビー)
⑥平仲知念型(ヒラナカチニン)
⑦与那城型(ユナー)

種類によって三線の大きさなどに違いが見られ、弾き心地が異なるもの特徴のひとつです。
中でも一番古いとされているのが、南風原型(フェーバラー)で、名工「南風原」の作とも伝えられています。

また、沖縄の三線は、沖縄県指定有形文化財であるとともに、沖縄県伝統工芸製品にも指定されています。そして今では、日本を代表する楽器のひとつとして、世界中から注目を集めているのです。

 

沖縄、琉球文化を語る上でも最も欠かせない「三線」は、現在も多くのアーティストや音楽に用いられ、たくさんの人に愛される楽器のひとつですね。沖縄で三線の生演奏を聴きながら、のんびり流れていく大人の琉球時間を過ごしてみてはいかがですか?

飛行機で飛び越えたコバルトブルーの海を横目に、どこからともなく聞こえてくる三線のやさしい音色が、ゆっくりとあなたの心に染みわたっていく瞬間を体感できますよ。

 

●掲載内容は記事公開時点のもので、変更される場合があります。
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