ラーメンを食べに福岡に来た方、なんだ、うどんの話かとがっかりしないでください。ラーメンがおいしい福岡は、実はうどんも美味しいというお話です。

訪れる方から、うどん屋さんが意外と多いと言われる福岡ですが、その始まりは宋へ留学していた聖一国師を招いて建てられた福岡市博多区の承天寺であり、そこでうどんやそば、饅頭の作り方を伝えたと言われています。そのおかげか、市内にはおいしい麺類のお店も、お饅頭のお店もたくさんあります。

うどんの伝承については諸説ありますが、古くから商売が盛んであった福岡だからこそうどんの普及は不可欠だったという説もあります。博多は商人の町として発展してきた町です。豊臣秀吉による「太閤町割り」で整備された博多の町並みは今もそのまま残っているところもあり、豪商と言われ、博多を栄えさせた商人の名の町名もあります。商家では商売が忙しく、座ってゆっくり食事をする暇もないため、やわらかく、消化にもいいうどんは手軽に食べられる食事として広まったようです。

お出汁(だし)は、あごだし、いりこ、昆布、かつお、などでしっかりと取り、うすくちしょうゆで仕上げます。風味豊かなだしと、柔らかく食べやすいうどんにはごぼう天がこれまた定番。揚げたてのごぼう天を出してくれるお店もあります。このごぼう天もお店によっては薄くスライスされたものをカリッと揚げたものや厚めのごぼうを揚げてほくほくとして食べごたえのあるものなどさまざまです。

ここ最近のうどん屋さんにちょっとした変化が起きています。それが「うどん居酒屋」。
うどんを食べるだけでなく、居酒屋としても利用できるのが特徴です。

なんといってもうどん居酒屋の魅力は一品料理の多さではないでしょうか。軽くおつまみ程度のものから、お刺身、肉料理まで揃った品数に驚きます。

コンセプトは居酒屋ですが、うどんにはかなりこだわっているというのがうどん居酒屋。うどん好きを決してがっかりさせないこだわりのうどんを楽しませてくれます。なんだかうどんが食べたい。そう思ったら立ち寄れる雰囲気と、こわいものなしのお品書きが連日の行列を呼んでいるのでしょう。2010年にうどん居酒屋が福岡で名乗りを上げてから、今なお続々とオープンしています。

福岡市ではラーメン店とうどん店の数も極端には変わらず、ややラーメン店が多いというデータもありますが、うどんも福岡にまかせんしゃい。といったところでしょうか。