カルチャー
2018.04.10(Tue)

【フクオカhumanpedia】第22回「九州で見つけたおいしい感動を多くの人に」

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「フクオカhumanpedia」は、古くから商都として栄えてきた福岡の街を支えた、歴史上の著名な人物や、知る人ぞ知る職人たち、現在福岡の各分野で活躍している人々を紹介する連載コラムです。

第22回目に登場するのは、福岡市・住吉の「キャナルシティ博多」にある「ホールスクエア福岡」を裏から支える眞貝友也さん。2016年に初めて九州に移り住み、九州中を東奔西走しながらこの地でしか出会えない食との奇跡の出会いを探し求めていらっしゃいます。

どんな料理にも日本の食材を生かすこと

街の魅力をつくる要素って何だと思いますか?

もちろん、自然環境や人や伝統工芸、景色など数限りなくありますが、多くの人は「食」を思い浮かべるのではないでしょうか。今回登場していただく眞貝さんは、そんな食の魅力を発掘してくるプロフェッショナルです。

滋賀県出身の眞貝さんは、長らく九州と縁もゆかりもありませんでした。高校を卒業して料理の道を志し、大阪の学校を出た後は尊敬する師匠について学び、料理人として東京、大阪、石川と様々な土地に呼ばれては、その腕を磨いてきました。

「30歳まではイタリア料理一筋でしたが、最初に師事した方が『イタリア料理であっても、誇れる日本の食材を活用する』という考えの持ち主だったんです。そのおかげで私も日本の食材、その土地ならではの素材というものに興味を持ち続けることができました」。

味だけでなく、器・空間・演出までもがおいしさの一部

料理人としてのキャリアを順調に重ね、30代になろうかという時に転機がやってきます。料理人としての経験を生かしながら、新たな角度から食に関わる道へと誘われました。

行政とともに「食と農」で地域活性化を目指すプロジェクトに参加。地域活性化のために市街地にレストランを開き、その店舗運営を任される機会に恵まれたのです。「食の世界に足を踏み入れた19歳の時には思いもしなかったようないろんな経験をさせていただき、どんどん奥深い世界へと進んで行くことができました」と眞貝さん。

その後に転職した先は、主に自社系列のレストランのプロデュースや海外の人気レストランの日本上陸を手がける会社でした。そこでは料理を作る仕事だけではなく、メニュー開発、器や空間のプロデュースから店舗運営全体に関わることまで視野を広げることができました。この立地ならどんなターゲットを狙って、どれくらいの客単価で、どんな世界観の店が合うのか、コンサルティングやマーケティングの視点も持ちながら料理に向き合うことができました。「自社レストランだけでなく、他社からの依頼を受けてメニュー開発を担当することもありました。クライアントの意向、立地やターゲット、スタッフのレベル等を総合的に判断し、そこでできるベストを追求する仕事は、料理人とはまた全然違う角度で、とてもいい経験をさせていただけました」と振り返ります。

そうして数々のプロジェクトを経験しながら、挑戦を重ねるうちに「もっと日本の食材や生産者のことを知りたい」と考えるようになったといいます。そしてタイミングよく、熊本県の丸菱という会社から声が掛かったそうです。

九州のおいしさを誰より知って届けたくて

九州にはほとんど行ったこともなかったそうですが、料理人として九州の食の魅力は知っていました。「九州の食材に触れられるんだったら」と引き受け、今に至ります。

丸菱は熊本県の益城というエリアに拠点を置く製菓製パン中心の卸会社です。実は、眞貝さんの入社直前に熊本地震が起き、本社機能が一時停止するなど大きな被害を受けました。眞貝さんは「今の時期に自分が入って負担になることはないのだろうか」と悩んだと言います。しかし、会社は「予定通り、入社してほしい」と言ってくれて、眞貝さんも「これも何かの縁。こんな時だからこそ、自分で役に立てることがあるなら全力を尽くそう」と心に誓ったそうです。

丸菱には食の総合商社という一面もあり、眞貝さんは、九州の産地を巡って、素材発見やオリジナル商材の開発など、九州のレストランに紹介する立ち位置でした。入社と同時に九州に移り住んだ眞貝さんは、九州各県を走り回り、道の駅や産直市場をチェックし尽くしました。食のニュースには常に目を光らせ、流行には必ず乗ってみるのも習慣だそうです。今や九州の人より九州のことを知っていると言っても過言ではないかもしれません。「県外からゲストを迎えるんだけど、どの店がいい?」「お土産に持って行くなら何がいいかしら?」と友人から相談されることも少なくありません。

普段、眞貝さんが見つけてきた食材はレストラン等に届くため、一般の方の目に触れる機会はそう多くはありませんが、丸菱にはフラッグシップストア「WHOLE SQUARE」が福岡と熊本にあります。プロ向けの業務用商材や一般消費者向けに少量で販売する材料を展開し、眞貝さんイチオシの食もそろいます。

「丸菱は自社で加工肉やチーズを作っていますのでそのおいしさには自信があります。『WHOLE SQUARE』は食材を買う楽しみはもちろん、隣接のレストランでは食べる楽しみもあるんです。季節ごとに変わる食材やおいしさを楽しんでいただきたいです。思わず『これ何?』と言いたくなるようなあまり見かける機会の多くない食材を使ったり、おもしろい組み合わせをしたり、ちょっと挑戦的なこともやっています。帰りにはショップでお土産を探していただくのも楽しいと思います。生産者の思いや商品ひとつひとつのおいしさを語れるスタッフもたくさんいますので、ぜひ『これ何?』と話しかけてみてください。福岡に暮らす方も県外から遊びに来た方も楽しんでいただけること間違いないです」と胸を張って教えてくれました。

<店舗情報>
「ホールスクエア」
電話番号:092-982-1008
住所:福岡市博多区住吉1-2-82 キャナルシティ博多グランドビル B1
営業時間:
マーケット 11:00〜22:00
レストラン 11:00〜15:00(OS14:00)、18:00〜23:00(OS22:00)
バール 11:00〜23:00(OS22:00)
定休日:無休
HP:http://www.wholesquare.jp

写真右は、「ホールスクエア福岡」料理長の服巻幸輝さん。

<profile>
眞貝 友也さん
滋賀県生まれ、料理人として、「リストランテ山崎」や「ゼフィーロ」で副シェフを務め、“食のヒットメーカー”と呼ばれる「トランジット」に転職。飲食店のプロデュースを経験し、熊本の「丸菱」へ。現在は、九州各地の生産地を巡りながら、おいしさを追い求め、発見しては各レストランへと届けている。

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