その人気はどんどん広がり、老若男女ファンが多い日本酒。
日本酒大好きなライターが福岡の地酒の魅力に迫ります!
福岡の食べ物はどれもおいしく豊富です。まずあげられるのは海の幸。
玄界灘、響灘、周防灘、有明海など海に囲まれた福岡は、新鮮な海の幸に恵まれています。特に天然ふぐの漁獲高は全国1位2位を常にランキングしているほど。
内陸には山間部、平野が広がり、農産物等も豊富です。またラーメン、水炊き、もつ鍋などの独自な郷土料理も楽しめる、そんな場所だから、日本酒だって、当然おいしさにこだわったものばかりです。
福岡といえば焼酎のほうが有名なので、日本酒がおいしいと聞くと意外に思われるかもしれません。
しかし歴史を紐解くと日本酒との繋がりも目立つのです。江戸時代、五代将軍の頃には福岡藩内に613軒の酒蔵があったそうです。
また西南戦争の折りに、官軍が飲んでいたのも地酒だったそうです。やがて明治へと激動の時代を駆け抜ける頃、福岡と日本酒は更に深い縁を持つようになり、日常で嗜まれるようになっていきます。
稲は元々南方からやって来た植物です。日本に伝わったのは九州が初めてでした。
その後品種改良を重ね全国どこでも栽培が可能になりましたが、原種の稲は寒冷地での栽培は困難、福岡が太古より稲作に適した環境だったことはいうまでもありません。筑後平野には水田が広がり、全国でも有数な 酒造好適米の代表格「山田錦」を産出しています。
日本酒の味を決めるのは、何といっても水の質です。ミネラルが多いと「硬水」になり、少ないと「軟水」になります。硬水で出来上がる日本酒はコクのあるどっしり重い味に、軟水ならば柔らかくあっさり系になるそうです。
国内はほとんど軟水が主流、福岡の場合は、筑後川の軟水を求めこの流れに沿って多くの酒蔵が集まっています。
酒作りに適したお米「山田錦」の生産高も上位です。上質な水と米が織りなす地酒がおいしい理由はここにあります。
長い歴史がはぐくみ、筑後川の水の流れとともに、全国的に有名な産地へと変わりつつある福岡の稲作に適した山田錦、それらのコンビネーションによって醸造さる福岡の日本酒、地元に限らず全国にも紹介されておいしいと評判な、福岡を代表する地酒を3つご紹介します。
■庭のうぐいす
福岡の地酒を代表する一本といってもいいでしょう。
約300年続く蔵元「山田酒造場」が作るフルーティな味が評判。一羽のうぐいすが庭の湧水を飲む姿を見かけたことから、このネーミングが浮かんだといわれています。ラベルのうぐいすのマークが目印です。
■三井の寿
蔵は大正11年より創業、軟水の筑後川に注ぐ小石原川の清流沿い筑後平野にある太刀洗町の酒造です。
酒作りに適した米「山田錦」を9号酵母で仕込み、ちょっと辛口ながらもお米本来の旨味を残したところが魅力の純米吟醸です。
■喜多屋
江戸末期文政年間、筑紫平野の八女にて創業の古い歴史のある蔵。社名及び商品名の「喜多屋」とは、酒を通して多くの喜びを伝えたいという願いの下に付けられたものです。口当たり良くさわやかな味が魅力です。
焼酎王国というイメージが強い福岡ですが、まだまだおいしい地酒がたくさんあります。
皆さんも福岡へお越しの際は、一度ご賞味ください。